摂食障害(拒食症・過食症):病院に行っても治りません

質問 By 愛さん:

摂食障害は医療機関にかかれば
「治る」ものなのでしょうか。

私は自助グループで多くの患者さんと出会いましたが、
残念ながら医療機関で治ったという人に出会ったことがありません。

回復者でカウンセラーをなさっている方もいらっしゃいますが、
彼女たちのほとんどが周囲の人の協力と
自助努力で立ち直ったと語っています。

私は20年ほど前、30kg代まで落ち込み、
両親が往診を依頼して強制入院となりました。

病院につくなり、外科の先生が
高カロリー輸液とカテーテルを入れられて
パニック状態になりました。

40キロまで増えたところで退院となりましたが、
退院後も自分を取り戻すことができずに
トンネルの中をさまよっています。

長年に及ぶつらい経験がこころの傷となって残っています。

摂食障害が雑誌やテレビなどを通じて
一般の人に知られるようになってからも、
摂食障害者に対する冷たい視線は変わらず、
有効な治療法も確立されていないように思います。

私は始めて先生の「マニュアル」を読んで、
納得できる部分もありましたが、できない部分もありました。

命の危険にさらされている本人、家族が
「良い病院を探す」というのは現状では
それほど容易なことではないと思います。

現実とマニュアルに書かれていることのギャップに
どうしても違和感を抱かざるを得ない、というのが本音です。

失礼かと思いましたが、
私の感想を書かせていただきました。


いずみ先生のお答え:

やはり、このご質問から逃げることは出来ませんね。

ですから、ここは医者という立場を捨てて、
ひとりの患者さんの立場に立たせていただいて
お答えさせていただきます。

“医者という立場を捨てる”というのは、
もしこのようなことを述べると、
「奢り高ぶっていると思われないだろうか」
「他の医療者の反感を買うのではないだろうか」
というこうした思いを断ち切るということです。

ここでは、私個人の率直でかつ、
あくまで主観的な考えを伝えたいと思います。

摂食障害は医療機関にかかれば治るものかと言えば、
必ずしもそうはいえません。

このブログの中でも書いていますように、
その治療が本当に出来る医療者と環境、
そして、ご家族の協力が必要です。

摂食障害にもいろいろとあって、
軽症の方から重症の方までいます。

軽症の方であれば、
一般的な摂食障害の治療を知っている医者にかかれば
概ね治るだろうと思われます。

しかし、問題は重症の方、なかなか治らない方です。

この重症の方を治すポイントは、
食べるだとか体重を増やすだとか、
そうした表面的な治療のレベルを超えて、
そのパーソナリティの心の問題に対する
アプローチを行うことにあります。

しかし、このパーソナリティの心の問題への
アプローチに関する治療理論を書いた
本や論文などは見たことがありません。

そこから予測されることは、
おそらくかなりの病院で、
重症例の方は治っていないのだろうということです。

実際、私自身もこの病院に来て、
今の治療理論を見出すまでは同じでした。

私は、幸運にもこの恵まれた環境の病院で、
縁あって出会ったかけがえのない摂食障害の患者さんたちと、
徹底的に治療に関わらせてもらうことが出来ました。

その中で、
このパーソナリティの心の問題へのアプローチの方法が
見えてきました。

それが結果に結びついているのだろうと思います。

その方法論については、
まだ書くだけの時間が持てなくて、
まだブログにも掲載していませんが、
今年度中には書かせていただきたいと思っています。

結論として、
私も全国の全ての摂食障害を診る医療機関を
知っているわけではありませんが、
学会発表などを見る限りでは、
愛さんと同じような気持ちを持っています。

でも、全てを知っているわけではないので、
ブログの中ではそうしたことを言えず、
医療機関については一般的な意見に終始したわけです。

私自身、全国の、
いや全世界の苦しんでいる摂食障害の患者さんに
関われないことを辛く思います。

実際、どこまで良くできるかを
100%保証はできませんが、
おそらくかなり高い確率でよくなっていただけるだろう
と思われるこのダイヤモンドの心を引き出す治療理論
全ての患者さんに実践できないことを辛く思います。

こうした思いから、
私はこのブログを書き始めました。

ここに書いた一行の文章でも二行の文章でも、
患者さんやそのご家族の方のお役に立てれば、
あるいは医療者に気付いていただき実践していただければ
と思っています。

その効果は私の病院で実証済みです。

本当に申し訳なく思いますが、
私がお話できるのはここまでです。

いずれこのブログの続編を書きますが、
そうした治療が少しでもお役に立てることを
願っています。



posted by ちーひめ at 01:21 | Comment(2) | 質疑応答
この記事へのコメント
愛さんの真っ直ぐな御意見と泉先生のお返事、私も気になった事でした。ありがとうございました。

このサイトにある泉先生の記事やコメントを読み、摂食障害の治療について一生懸命取り組んでおられる医師がおられるということがわかり嬉しく思っています。希望があたえられます。

ちーひめ様、質問の場所がわからないのでここに質問書きます。必用なら以下移動御願いします。
泉先生
摂食障害の後遺症等ついて、一般的に書かれている骨粗鬆症、糖尿病、歯への影響以外にもなにか情報はありますか?数年前から調べているのですが、摂食障害が治った後の人の研究はされないのか、情報があまり見つかりません。
Posted by 葵 at 2007年07月31日 16:12
こんにちは、葵さん、
質問を残してくださるのは
コメント欄が一番分かりやすいので
これからも、コメント欄に残してくださいね。

泉先生もお忙しいので
お返事にしばらく時間がかかることもありますが、
ちゃんと伝えさせていただいてます。

また、泉先生も、できるだけ
お返事を書こうと努力なさっているので
みなさん、少々お待ちくださいね。

HANAさん、そしてもえさん、
お2人の質問も伝えていますので
そのうちお返事をいただけると思うので
お待ちくださいね。

宜しくお願いします。
Posted by ちーひめ at 2007年08月01日 00:32
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